事例研究

ダブル・スコープ株式会社 新株予約権(有償ストックオプション)の発行

ダブル・スコープ株式会社が下記要領にて有償新株予約権を発行しました。

発行日 発行価額 前日終値 行使価額 発行価額/時価
2016/3/31 48円/株 4,305円/株 1,700円/株 (注1) 1.1%
新株予約権の数 希薄化効果 株価変動性 配当利回り 無リスク利子率 行使期間
3,550個
(1個当たり100株)
2.50% 66.00% 0.23% -0.200% 4年
(H29/4/1 ~ H33/3/31)

*希薄化効果 = 増加普通株式数 ÷ 発行済株式総数

(注1)平成27年1月1日~12月31日までの終値の平均値(1,683.97円)を参考に決定

なお、有償新株予約権の発行時には前日終値を行使価額にすることが多いため、プレスリリースにおいては行使価額につき、下記の補足がなされています。

「当社及び子会社役職員の当社グループの業績向上に対する意欲や士気を高める目的から当該行使価額に決定したものであり、業績目標達成時において株式市況の動向等により当社の株価が下落した局面においても、引き続きインセンティブ機能が働くことで、当社グループの役職員の意欲や士気の向上効果を保ち、企業価値の向上及び株主価値の増大に寄与すると考えられるため設定したものである。」

プレスリリースへのリンク
 
また、この有償ストックオプションには下記のノックアウト条項が付されています。
(ノックアウト条項:一定の条件を達成しなければ、ストックオプションの行使が出来なくなる条項)
 
 
① 新株予約権者は、平成 28 年 12 月期及び平成 29 年 12 月期の各事業年度にかかる当社が提出した有価証券報告書に記載される監査済の当社連結損益計算書において、売上高と営業利益が次の各号に掲げる条件を満たしている場合に、割当てを受けた本新株予約権のうち当該各号に掲げる割合を限度として本新株予約権を行使することができる。この場合において、かかる割合に基づき算出される行使可能な本新株予約権の個数につき1個未満の端数が生ずる場合には、かかる端数を切り捨てた個数の本新株予約権についてのみ行使することができるものとする。

また、国際財務報告基準の適用等により参照すべき売上高と営業利益の概念に重要な変更があった場合には、当社は、合理的な範囲内において、別途参照すべき指標を取締役会にて定めるものとする。

(a) 平成 28 年 12 月期の売上高が 91 百万米ドル以上且つ営業利益が 2,100 百万円以上の場合
新株予約権者が割当てを受けた本新株予約権の総数の2分の1を当該条件を満たした期の有価証券報告書の提出日の翌月1日から行使することができる。

(b) 平成 29 年 12 月期の売上高が 114 百万米ドル以上且つ営業利益が 2,340 百万円以上の場合
新株予約権者が割当てを受けた本新株予約権の総数の2分の1を当該条件を満たした期の有価証券報告書の提出日の翌月1日から行使することができる。

② 割当日から本新株予約権の行使期間が満了する日までの間に、いずれかの連続する 5 取引日において東京証券取引所における当社普通株式の普通取引終値の平均値が一度でも取締役会前日終値に 50%を乗じた価格(1円未満切り上げ)を下回った場合、上記①の条件を満たしている場合でも、新株予約権者は、本新株予約権を行使することはできないものとする。

③ 新株予約権者が割当てを受けた本新株予約権の総数の2分の1を当該条件を満たした期の有価証券報告書の提出日の翌月1日から行使することができる。

④ 新株予約権者は、本新株予約権の権利行使時においても、当社または当社関係会社(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則において規定される関係会社をいう。)の取締役、監査役または使用人であることを要する。但し、任期満了による退任及び定年退職、その他正当な理由のある場合は、この限りではない。

⑤ 新株予約権者の相続人による本新株予約権の行使は認めない。

⑥ 本新株予約権の行使によって、当社の発行済株式総数が当該時点における授権株式数を超過することとなるときは、当該本新株予約権の行使を行うことはできない。

⑦ 各本新株予約権の1個未満の行使を行うことはできない。

  
つまり、この有償ストックオプションは割当者にとって、下記の意味があることとなります。

・ストックオプションの割当時に48円/株の払込が必要

・払込を行うと、ダブル・スコープ株式会社の株式を1,700円/株で取得可能になる(1,700円/株は平成27年1月~12月の終値平均)

・よって、将来株価が上がった時(例えば5,000円/株になった時)に行使・譲渡すれば、3,300円/株の譲渡益が得られる
譲渡益には20.315%の所得税しか課税されない

・但し、ストックオプションの行使には業績条件あり(売上高:91/114百万米ドル以上、営業利益:2,100/2,340百万円以上等)
→なお、参考までにダブル・スコープ社の平成27年12月期連結売上高は7,448百万円、連結営業利益は1,909百万円

有償ストックオプションには上記のようにノックアウト条項が付されることが通常であり、将来における行使の確実性が担保されないため、低い価額(48円/株)で発行可能となります。
(有償ストックオプションの発行自体はあくまでストックオプションの公正価値発行のため、取締役会決議による発行が可能)

また、業績条件をつけることで、「ストックオプションが行使可能になる=会社の業績が上がっている=株価が上がっている」という図式が成り立つため、既存株主の理解も得られやすくなります

なお、ダブル・スコープ株式会社の有償新株予約権付与にかかる取締役会決議の前日終値は4,305円であり、ストックオプションの行使価額1,700円はかなり低い水準に見受けられます。

しかし、これを織り込んだ上で行われた第三者評価(モンテカルロ・シミュレーション)により、新株予約権の公正価値が48円と算定された以上、やはりあくまでストックオプションの公正価値発行(有利発行ではない)と位置づけられるため、取締役会決議による発行がなされています。

 
 

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