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PPA / パーチェス・プライス・アロケーションPurchase Price Allocation

無形資産の評価(測定)-①評価手法の選択

基礎となる考え方(公正価値アプローチ)

公正価値の概念は、PPAにかかる無形資産価値評価において基礎となる非常に重要な概念であり、無形資産はこの公正価値の概念に基づき測定されます。

IFRS13号「公正価値」によれば、公正価値とは「測定日時点で、市場参加者間の秩序ある取引において、資産を売却するために受け取るであろう価格又は負債を移転するために支払うであろう価格」とされており、これは、無形資産の評価は、一般的な市場参加者の見地に立って行わなければならないことを意味しています。

日本基準においても、企業結合会計基準適用指針第10号に同様の内容が以下のとおり規定されています。

公正価値とは,
(1)観察可能な市場価格に基づく価額であり、
(2)(1)がない場合には、合理的に算定された価額

また、合理的に算定された価額による場合には、一般的な市場参加者が利用する情報や前提等が入手可能である限り、それらに基礎を置くこととし、そのような情報等が入手できない場合には、見積りを行う企業が利用可能な独自の情報や前提等に基礎を置くものとされています(第53項)。

合理的に算定された価額は、一般に、コスト・アプローチ、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチなどの見積方法を採用することが考えられ、資産の特性等により、これらのアプローチを併用又は選択して算定することとなります。この点について、IFRSと日本基準の基本的な考え方に差異はないものと考えられます。

評価アプローチ代表的手法採用に当たっての検討・留意事項
コスト・アプローチ
  • ・複製原価法
  • ・再調達原価法
  • ・認識した無形資産の再調達原価や複製原価の集計が可能か
  • ・現時点における再調達原価は、評価対象資産を再調達するためのコストであり、認識した資産が有する価値と一致するか
マーケット・アプローチ
  • ・売買取引比較法
  • ・利益差分比較法
  • ・取引市場が存在し評価対象資産にかかる取引相場が確立している場合には客観性の高い評価アプローチである
  • ・認識した無形資産に取引市場があるか、類似資産の売買事例を収集することが可能か等検討を要する
インカム・アプローチ
  • ・ロイヤリティ免除法・超過収益方・利益差分法
  • ・評価対象資産の将来の経済的便益の総和により評価を行うインカム・アプローチは、最も理論的かつ一般的な評価アプローチである
  • ・認識した無形資産の評価に必要なデータの収集可能性等、経済的便益を測定するための合理的な前提・測定方法について検討を要する