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PPA / パーチェス・プライス・アロケーションPurchase Price Allocation

無形資産の評価-④経済的耐用年数

PPAにおいて認識される無形資産の経済的耐用年数は、当該無形資産より経済的効果が得られる期間=キャッシュ・フローを生み出す期間、として見積もられます。

そのため、インカム・アプローチによる評価手法によって無形資産を評価する場合、経済的耐用年数の長短によって見積もりキャッシュ・フロー期間も変わってくることから、耐用年数の設定によって無形資産の評価額が変わってきます。また、設定した経済的耐用年数は、PPA確定後の会計期間における無形資産の償却年数とされることが多いため、買収した企業の営業利益等にも影響を与えます。

現状、日本の会計基準においては、経済的耐用年数の明確な決定方法や考え方等は定められておらず、経済的耐用年数の根拠となるデータや情報を参照して個別に設定することが求められます。しかし、実務上は情報の入手に制約があり、根拠となるデータや情報が入手できないことも多く、経済的耐用年数はしばしば監査上の論点となります。

経済的耐用年数は、評価対象無形資産の将来の使用予測、法的保護期間、過去の継続利用実績、資産の減少率・陳腐化率、競争・競合状況等の様々な経済的及びその他の要因等を考慮して決定されます。

主な無形資産の経済的耐用年数の設定に関する考え方とそのポイントは以下の通りです。

無形資産の種類耐用年数設定の考え方ポイント
商標権
  • ・商標権の残存登録期間及びその更新可能性
  • ・IFRS及び米国会計基準においては非償却が可
  • ・商標権の残存登録期間と更新可能性を考慮して設定
特許権(技術)
  • ・特許権の残存続期間
  • ・特許権を有しない技術の場合は、技術的優位性が維持される期間等を想定する必要あり
契約関連資産
  • ・残存契約期間及びその更新可能性
  • ・契約期間が明示されていない場合や自動更新の場合においては、更新可能性や更新率を勘案して設定
顧客資産
  • ・顧客の減少率
  • ・顧客との取引契約の残存契約期間
  • ・少数の大口顧客のみが存在する場合や顧客の入替が極端に少ない場合は、顧客減少率は採用が難しい