有償ストック・オプションとは
有償ストック・オプションとは、その名の通り、発行時に受け手から発行会社に払込が行われる新株予約権です。
インセンティブ・プランとして税制適格ストック・オプションの要件を満たさない相手に発行されることが多く、未上場企業の場合、主に下記のケースが該当します。
- 大口株主(発行済株式総数の1/3超を保有)への発行
- 適格要件は満たすものの、年間1,200万円までの権利行使限度額を超える見込の方に向けた発行
- 監査役への発行
- 外部コンサルタント、業務委託先等の社外への発行
上記の他、上場企業では資金調達目的で有償新株予約権を発行することもあります。
有償ストック・オプションの会計
発行価格 | 行使価格 | 発行会社の 損金性 | 受け手の税務 | 主な評価 手法 | 決議方法 |
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適正な時価による 有償発行 | 一般的には 発行時の時価 | - (損金算入不可) | 〇 株式譲渡時に 株式譲渡所得課税 | モンテカルロ シミュレーション | 株主総会 特別決議 (公開会社は 取締役会決議) |
有償ストック・オプションを評価する際は、業績条件を付すことが多く、「〇〇期に売上/営業利益〇〇億円以上を達成した場合に〇%行使可能」のような設計を行うことが一般的です。
この業績条件を付すことにより、将来において失効するリスクが生まれることから、金融商品としてのストック・オプションの価値は下がることとなり、結果として発行価格(有償ストック・オプションの発行時に受け手が発行会社に払い込む金額)が少なくなるという相関関係があります。
発行体の会計処理は、発行時に新株予約権を計上したのち、上場企業であれば公正価値を費用処理することとなります。一方、未上場企業の場合は、税制適格ストック・オプションと同様に、本源的価値が発生しない限り(行使価格=時価とする限り)、費用計上は不要と解釈されています。
受け手の税務
有償ストック・オプションの受け手は、発行時に発行価格を払い込むことで新株予約権が付与されます。その後、行使条件を満たしたタイミング等で行使して株式を取得しますが、この時点では課税されません。株式を譲渡したときにはじめて、株式譲渡所得として約20%が課税されます。
なお、M&Aの際などに有償ストック・オプションを発行体が時価で買い取るような設計も普及しつつありますが、この場合の受け手の税務としては、発行体の買取によるキャピタルゲイン相当額が株式譲渡所得に該当するものと一般的には解釈されています。
スタンドバイシーの報酬テーブル
有償ストック・オプションに関してスタンドバイシーにご依頼いただくケースとしては、未上場企業の発行における第三者評価としての新株予約権の公正価値評価が最も多く、概ねの報酬テーブルとして50万円~100万円程度をご提案させて頂いております。
なお、業績条件を含む行使条件において、特殊な設計等をご検討されている場合は、その都度のご相談とさせて頂きます。
また、上場企業からのご依頼としては、第三者評価としての新株予約権の公正価値評価が最も多く、場合によっては開示支援などが合わさることとなります。この場合は、概ねの報酬テーブルとして100万円~150万円程度をご提案しております。